東海公衆衛生雑誌
Online ISSN : 2434-0421
Print ISSN : 2187-736X
関節リウマチ患者のフレイル予防行動の継続に関わる要因の検討
―運動・食生活・社会参加の自由記述調査から―
安岡 実佳子肥田 武藤川 寛之永谷 祐子川口 洋平黒柳 元上用 祐士坂井 宏章三井 祐人渡邉 良太渡邉 美貴鈴木 貞夫小嶋 雅代
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キーワード: KJ法, RA, フレイル予防
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2022 年 10 巻 1 号 p. 196-202

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抄録

目的 フレイルとは加齢に伴い心身の活力が低下した状態であり, 要介護の前段階と考えられている。関節リウマチ(RA)患者は, 慢性炎症により身体機能が低下しやすく, フレイルのハイリスク集団である。フレイル予防では, 運動, 栄養, 社会参加を促すことが重要と考えられている。本研究では,RA患者のフレイル予防を促す行動の継続に関連する要因を明らかにすることを目的とした。

方法 RA外来患者を対象とした既存研究の参加者のうち, 新たに本研究協力への同意が得られた14人を参加者とした。2021年11月, 研究参加者に運動・食生活・社会のつながりに関する自由記述形式の質問票を郵送した。得られた回答から, フレイル予防やその継続に関連しうる行動・意識などをKJ法で分析した。

結果 研究参加者の内訳は, 男性2人, 女性12人であり, 年齢は50歳代が2人, 60歳代が4人,70歳代が6人, 80歳代が2人であった。運動を継続する要因として,【目標設定・保持】,【生活との連続性】,【持続可能な動機付け】が挙げられた。食生活で意識していることとして,【健康増進を促す適切な認識】,【フレイル予防を促す適切な認識】に加え,【フレイル予防を妨げる不適切な認識】も生成された。社会とのつながりについては,【“顔の見えない関係”での人との潜在的つながり】,【“顔の見える関係”での近距離の人との顕在的つながり】,【“顔の見える関係”での中距離の人との顕在的つながり】がみられた。

結論 RA患者がフレイル予防行動を継続するにあたり, 自己効力感を維持することに加え, 症状に応じて負担を減らすことや, 計画通りに進まない場合であっても自分を責めないことといったRA患者の戦略が明らかになった。

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© 2022 東海公衆衛生学会
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