東海公衆衛生雑誌
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最新号
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  • 桐山 啓一郎, 出口 一樹
    2019 年 7 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 2019/07/06
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

     本研究は疾病地図を用いて岐阜県内の自殺多発地域を特定し、岐阜県の自殺多発地域における自殺対策について考察することを目的とした。疾病地図は、2010年から2014年までの岐阜県内市町村の自殺による死亡者数(5歳ごとの年齢階級別)を基に、男女別で作成した。疾病地図の作成には、Disease Mapping Systemを使用した。結果、高山市を中心とした飛騨地方の男性に高い集積性を認め、大垣市の男女に低い集積性を認めた。高山市を中心とする飛騨地域は、医療資源が少なく、かつ企業規模も小規模のため、自殺の凝集性が高い男性への精神保健医療活動は現状では十分とは言い切れなかった。一方で、先行研究を踏まえて精神科病院と総合病院が連携して精神科リエゾン医療を提供することによる再自殺企図予防の実現可能性が考えられた。

  • -横断的検討-
    小島 真由美, 川瀨 文哉, 立花 詠子, 塚原 丘美
    2019 年 7 巻 1 号 p. 85-94
    発行日: 2019/07/06
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    目的 認知症高齢者の栄養ケアに必要な情報を蓄積するために,骨格筋量と認知症,認知症による食行動関連障害と骨格筋量および認知症重症度との関連について検討した。

    方法 特別養護老人ホームの入居者292名を対象として横断調査を行った。認知症の重症度の評価は認知機能検査(MMSE)を用い,認知症による食行動関連障害の12項目についての有無を調査した。骨格筋の評価はInBody S-10を用いて四肢骨格筋量を測定し,骨格筋指数(SMI)を算出した。

    結果 対象者のSMIを3分位に分けてMMSEとの関連を検討したところ,SMIの高グループのMMSEの平均値は9.5点(95%CI: 7.8-11.3),中グループは10.1点(95%CI: 8.2-12.1),低グループは6.8点(95%CI: 4.6-9.0)(p=0.031)と,3群間で有意差があり低グループは低かった。認知症の重症度が高いMMSE≦10点を目的変数として,ロジスティック回帰分析を用いて検討したところ,女性で,SMIが中グループおよび高グループは低グループに比べて,MMSE≦10点のリスクが有意に低く(それぞれ,OR: 0.47, 95% CI: 0.23-0.94およびOR: 0.49, 95% CI: 0.24-0.98),SMIが高いとMMSE≦10点であるリスクが低くなる傾向がみられた。MMSE≦10点になると「食具使用困難」,「集中力の欠如」,「食事の溜め込み」,「むせ」,「姿勢の保持が困難」,「認識の欠如」,「傾眠傾向」の食行動関連障害の出現頻度が高くなり,さらにSMIを3分位に分けて食行動関連障害との関連を検討したところ,SMIの低グループでは「食事の溜め込み」,「姿勢の保持が困難」の出現頻度が高かった。

    結論 認知症の重症度と骨格筋量は関連があり,認知症による食行動関連障害の「食事の溜め込み」と「姿勢の保持が困難」の出現は栄養管理における重要な指標である。

  • 鈴木 岸子, 玉腰 浩司, 佐久間 清美
    2019 年 7 巻 1 号 p. 95-100
    発行日: 2019/07/06
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    目的 介護予防・日常生活支援総合事業(以下,「総合事業」)を利用している高齢を対象に,総合事業への参加が日常生活に与える変化を明らかにすることを目的に調査した。

    方法 対象者はN市内にある総合事業の利用者に対して,質問紙調査を実施した。質問紙は120名に配布し回収できた99名を対象とした。対象者の性別,年齢等の属性,健康状態,介護度,日常生活動作,生活習慣,日常生活上の変化などを把握した。

    結果 対象者99名の特性は,性別,男性14名(14.1%)女性85名(85.9%)だった。平均年齢80.2±7.0歳(男78.3±8.7歳,女80.5±6.8歳),介護認定等の有無(複数回答)では,無と答えた人が55名(55.6%)だった。総合事業を利用したことによる生活上の変化があったのは60名(60.6%)だった。具体的な変化の中で,ネガティブな変化を訴える人は少なかった。性別,独居,自発的な参加,他者の勧めによる参加との関連を見るためにχ2検定をしたところ,性別や自発的な参加においては,関連は認められなかった。しかし,他者の勧めによる参加群では,「よく人と話すようになった」(p=0.03),「運動することが増えた」(p=0.01),「健康を意識するようになった」(p=0.02)の3つの割合が高かった。独居群では,「食事に気を配るようになった」(p=0.04)の割合が高かった。

    結論 本調査からは,総合事業に参加した結果日常生活に何らかの変化が見られた人は約6割あった。そのうち,他者に勧められて参加した人と独居の人に全般的に生活意欲が高まる変化が見られた。本結果からは,総合事業への参加は,利用者の日常生活の質に良好な変化をもたらしていた。

  • ピア・エデュケーションを用いた食育が高校生に及ぼす効果
    加藤 恵子, 小田 良子, 山本 ちか, 内田 あや, 長迫 凪, 渡辺 和代
    2019 年 7 巻 1 号 p. 101-106
    発行日: 2019/07/06
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    目的 高校生の食育を実施するにあたり,高大官連携事業(名古屋市西保健センター,名古屋市西区内S高等学校,名古屋文理大学短期大学部)として,「食の大使プロジェクト」を展開した。食育をより効果的に行うために,ピア・エデュケーションを採用した。本研究は,ピア・エデュケーションを用いた活動が高校生を対象とした食育に及ぼす効果を明らかにしようとした。

    方法 栄養士を目指す女子短期大学生(延べ34名)がピア・サポーターとなり,西区のS高校の学生31名に対して,食育のテーマを「昼食の大切さと弁当実習を通して栄養を考える」に設定し,2017年7・9月に食育活動をワークショップ4回,調理実習1回実施した。

    結果 ワークショップおよび調理実習終了後の高校生の調査より,卒業後は自分のお弁当を作ってみたい90.0%,また全員が栄養を考えてのコンビニの活用法が理解できた,自分でお弁当をつくることができると思う71.0%と肯定的な回答を得た。また,ピア・エデュケーションの観点からの評価としては,自分の意見を伝えることができた93.3%,ワークショップは楽しかった63.3%との回答がみられた。自由記述では,講義型の授業よりも意見交換ができる,短大生との交流が良かった等,ピア・エデュケーションを用いたワークショップの利点をとらえた意見が多くみられた。

    結論 ピア・エデュケーションを用いた食育活動は,従来の講義形式の教育に比べ,高校生の食に対する意識を有効的に植え付ける,大変有意義な手法であることが示された。

  • 神谷 真有美, 細野 晃弘, 玉井 裕也, 渡邉 美貴, 柴田 清, 辻村 尚子, 藤田 ひとみ, 岡本 尚子, 近藤 文, 若林 諒三, ...
    2019 年 7 巻 1 号 p. 107-113
    発行日: 2019/07/06
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    目的 出生体重と,その後の成人期以降に生じ得る生活習慣病との関連を明らかにすることで,生活習慣病対策に寄与できるかを検討した。

    方法 人間ドックを受診した34歳~79歳の地域住民のうち,研究参加に同意が得られた7,575人から,自記式調査票で,「出生体重はどのくらいでしたか」という質問に対し「非常に大きかった」「大きかった」「普通」「小さかった」「未熟児」の5群いずれかを回答した5,812人(男性3,046人,女性2,766人)を対象とした。このうち出生体重が「非常に大きかった・大きかった」「普通」「小さかった」「未熟児」に当てはまる4群の,生活習慣病関連の検査値について,出生時の体重を「普通」と回答した者をリファレンスとしたロジスティック回帰分析を行い,年齢,Body Mass Index(BMI),喫煙歴,アルコール歴,家族歴を補正したオッズ比(95%信頼区間(CI))を算出した。

    結果 出生体重を「普通」と回答した者に比べ,男性では,出生体重「非常に大きかった・大きかった」回答群で,インスリン抵抗性高値のオッズ比が0.59(95%CI:0.44-0.79),肥満のオッズ比が1.32(95%CI:1.05-1.68)と有意であった。また,出生体重「小さかった」回答群で,拡張期血圧高値のオッズ比が1.33(95%CI:1.01-1.76),ヘモグロビンA1c高値のオッズ比が1.54(95%CI:1.15-2.06)であった。女性では,出生体重「非常に大きかった・大きかった」回答群で,肥満のオッズ比が1.39(95%CI:1.02-1.89),出生体重「小さかった」回答群で中性脂肪高値のオッズ比が1.49(95%CI:1.01-2.20), 出生体重「未熟児」回答群で,収縮期血圧高値のオッズ比が1.78(95%CI:1.11-2.87),肥満のオッズ比が2.24(95%CI:1.44-3.50)であった。

    結論 将来の生活習慣病発症の予防のためには,出生体重をリスクの一つとして捉え,出生直後から切れ目のない支援を続けることが重要となる可能性が示唆された。

  • ~地域の体操教室の参加者における調査~
    尚 爾華, 加藤 利枝子, 中川 弘子, 渡邉 美貴, 鈴木 貞夫
    2019 年 7 巻 1 号 p. 114-119
    発行日: 2019/07/06
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    目的 高齢化社会がますます進む中,健康寿命を延ばすことを目標に様々な取り組みが実施されている。地域においても,老人福祉センターを中心に高齢者向けの健康教室や体操教室などが開催されている。しかしながら,地域在住高齢者の現状は十分に明らかにされていない。そこで,地域在住高齢者の健康状況および生活習慣,主観的健康度について明らかにすることを目的に調査を実施した。

    方法 愛知県名古屋市の老人福祉センターで実施されている「健康体操教室」に参加する60歳以上の地域在住高齢者を対象に自記式無記名質問紙を用いて調査を行った。質問項目は,身長,体重,現在歯数,日常生活動作,飲酒や喫煙などの生活習慣および主観的健康度についてである。解析対象は65歳以上の女性537人で,65-69歳,70-74歳,75-79歳,80-84歳,85歳以上の年齢階級別に各項目について集計し,x2検定にて検討した。

    結果 対象者の年齢は65~94歳で,平均年齢±標準偏差は75.3±5.7歳であった。調査票に記載された身長と体重から算出したBMIは,75%の対象者が「18.5以上25未満」であり,多くの対象者が適正体重を維持していた。日常生活動作では,「立ったままズボンやスカートをはく」という質問では,「できない」が80歳未満の年齢階級では0~1.3%であったのに対し,80-84歳,85歳以上で,ともに7.1%と有意に高かった。「休まずに歩ける時間」の質問では,「1時間以上」は65-69歳59.6%,70-74歳57.5%,75-79歳45.4%,80-84歳31.6%,85歳以上27.3%と,80歳以上で低い割合であり,80歳以上の約60%の対象者が「20~30分程度」と答えた。

    結論 「健康体操教室」に参加する本研究の対象者において,80歳以上で日常生活動作の低下が現れることが明らかになった。健康を維持するために,高齢者の日常生活動作の低下予防のための適切な支援が重要である。

  • 加藤 功一郎, 飯田 将人, 岡庭 里奈, 加藤 万耶, 佐藤 美鈴, 鈴木 芙由美, 森田 美咲, 安江 紗希, 古畑 利子, 倉知 絵美 ...
    2019 年 7 巻 1 号 p. 120-127
    発行日: 2019/07/06
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    目的 春日井市民の災害時における食生活の備えの実態を把握し,効果的に推進するための基礎資料を得ることを目的とした。

    方法 2017年5月から10月に,春日井市が開催する健康教室等の事業および中部大学の春日井市在住の学生,職員等を調査対象とした。アンケートは自記式無記名とし,調査項目は,性,年代等の基本属性,要配慮者に対する災害時の食事の準備状況,災害時の備えに関する知識,非常用持ち出し袋および非常用食料の準備状況,非常時に自宅にある食料で過ごせるであろうと予測される日数(以下,災害時自力食生活予測日数),常備している食品および器具とした。分析は単純集計以外に,災害時の備えに関する知識の状況と,性,非常用持ち出し袋および非常用食料の準備状況との関連についてPearsonのカイ二乗検定を,災害時自力食生活予測日数(3日以上)を従属変数とし,災害時の備えに関する知識を説明変数としてロジスティック回帰分析を行った。

    結果 回答のあった899人のうち基本属性に欠損のない838人を分析対象とした。要配慮者のいる世帯は57%で最も多いのは乳幼児の34%であった。乳幼児への災害時の食事の準備状況は24.1%であった。ライフラインの復旧の順序,一日に必要な飲料水の量,ローリングストック法を知っていたのは順に35%,45%,27%であった。非常用持ち出し袋は44%が,非常用食料は73%が用意していた。災害時自力食生活予測日数は「3~6日」が50%,「7日以上」が5%であった。非常用持ち出し袋および非常用食料は,知識が高い(3つの知識のうち2つ以上を知っている),ローリングストック法を知っていた場合に有意に用意していた。災害時自力食生活予測日数「3日以上」は,ライフラインの復旧の順序,ローリングストック法を知っている場合に有意に多かった(オッズ比1.56(95%CI:1.13~2.16),1.49(1.05~2.12))。

    結論 今回,春日井市民の災害時の備えの状況を明らかにすることができた。要配慮者がいる世帯が6割であったが,災害時の食事の準備状況は低かった。災害時の備えに関する知識と非常用持ち出し袋や非常用食料の用意および災害時自力食生活予測日数には関連があり,知識がある場合に良好であった。

  • 中島 正夫
    2019 年 7 巻 1 号 p. 128-134
    発行日: 2019/07/06
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    目的 母子保健活動が地域で効果的・総合的に推進されるためには市町村が母子保健計画を策定することが必須となるが,その根拠は母子保健法で定められていない。本研究は東海4県における市町村母子保健計画の策定状況や内容を明らかにし,策定に関する今後の方向性について検討することを目的とする。

    方法 (1) 計画の策定状況:東海4県のすべての市町村(160市町村)を対象として,2018年6月に母子保健担当部局宛に調査票を郵送した。調査内容は,母子保健計画策定の有無,策定の形態(単独策定・他計画との一体的策定)などとした。(2) 計画の内容:(1)に対する回答が得られた90市町村のうち市町村のウェブサイトで該当する計画が閲覧できた計画など69計画を対象とし2014年に示された母子保健計画策定指針を参考にして内容を分析した。

    結果 (1) 計画の策定状況:回答があった90市町村について,母子保健計画を策定していないと回答された市町村が3あった。策定していると回答された87市町村のうち,単独策定は8(9.2%),他計画との一体的策定は79(90.8%)であった。計画は「単独策定」「健康増進計画等との一体的策定」「子ども・子育て支援事業計画等との一体的策定」に分けられた。(2) 計画の内容:「方策」についてはいずれの形態でも基本的に母子保健事業全般について記載されていたが,「地域の状況」や「指標・目標」については,「単独策定」に比べ,特に「子ども・子育て支援事業計画等との一体的策定」において記載されている内容が少なかった。

    結論 東海4県における市町村母子保健計画の状況について調査した結果,その形態や内容に大きな差異が生じていることが確認できた。策定指針では「母子保健の一義的な目的である,母子の生命を守り,母子の健康の保持・増進を図ることを念頭においた計画づくりが求められる。」としているが,その内容が十分とはいえない計画が大部分となっていた。今後の方向性として,母子保健計画策定の法定化が望まれるが,当面の対応として,厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知により「他の法定計画等と一体的に策定する場合は,別途母子保健に関する詳細計画を策定すること」を勧めることが適当と考える。

  • 全国12地区データとの比較
    三浦 綾子, 岩間 美和子, 中村 美詠子, 合田 敏尚, 尾島 俊之
    2019 年 7 巻 1 号 p. 135-143
    発行日: 2019/07/06
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    目的 自治体の食育推進事業の一環として,小中学生に毎年継続して実施してきた食事調査結果を全国12地域の結果と地域間比較し,全国地域との比較による位置づけで当該地域の食生活状況や課題を明確にすることを目的とする。

    方法 静岡県富士市が2010~2018年に毎年継続して実施している小学5年生,中学1年生を対象とした食事調査結果と,2014年に同じ食物摂取頻度質問票を用いて全国12地域で実施された調査結果(エネルギーと44項目の栄養素)を2群の平均差検定により比較した。小学生のデータは,途中で調査票が切り替わり,現時点で切り替え前後の調査票の関係性が明らかではないため,全国12地域で使用した調査票と同じ調査票を用いた2017,2018年のみ分析対象とした。

    結果 全国12地域と富士市の地域間比較では,小学5年男子は16項目,小学5年女子は21項目,中学1年男子は21項目,中学1年女子は22項目の栄養素摂取量に有意な差がみられた(p<0.05)。小中学生の男女全てにおいて,摂取量に有意な差がみられた栄養素は,動物性脂質,ナトリウム,ビタミンC,αカロテン,βカロテン,βクリプトキサンチンであり,動物性脂質,ナトリウム,ビタミンC,βカロテン,βクリプトキサンチンは富士市が全国より高く,αカロテンは富士市が全国より低かった。

    結論 食物摂取頻度質問票による食事調査結果を用いて富士市と全国を比較し,食塩および動物性脂質摂取量の多さが富士市の小中学生の食生活の課題であることが明らかになった。野菜や果物摂取と関連する栄養素については調査を実施した季節を考慮する必要性が推定された。今後は市内の各地域の特徴についても明確にする等さらに詳細な検討を行い,富士市の食育を推進していく基礎資料を得る予定である。

  • 上田 規江, 巽 あさみ, 中村 美詠子, 内野 文吾, 尾島 俊之
    2019 年 7 巻 1 号 p. 144-150
    発行日: 2019/07/06
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    目的 高LDLコレステロール(以下LDL-C)血症の男性労働者に対する対策のひとつとして,食事における脂肪酸バランスの改善があげられる。事業所の現場において実施可能な栄養指導プログラムを考案し,実現可能性と効果の検証を目的とした。

    方法 A社従業員40~60歳の非喫煙男性で2016年定期健康診断においてLDL-C≧120 ㎎/dLであった40名を対象に,介入群と対照群に無作為に割付け,介入群に対して管理栄養士1名による30~40分の個別栄養指導1回と手紙による継続支援を行った。2017年健康診断の項目および食品摂取質問紙調査項目について,介入前後における変化を2群間で比較検討した。統計解析は対応のないt検定を用いた。

    結果 対象者は49.7±5.3歳(mean±SD),BMIは22.5±1.8 kg/m2,腹囲は81.4±5.9 cmであった。介入群の18名全員が栄養指導プログラムを完了した。介入前後のLDL-C値は,介入群173.8±28.9 mg/dLから169.1±30.3 mg/dL(変化量-4.7 mg/dL)に低下,対照群161.6±27.0 mg/dLから165.5±28.6 mg/dL(変化量+3.9 mg/dL)に上昇した。LDL-C値の変化量の群間比較に,統計学的有意差は見られなかった(=0.209)。食品摂取調査の群間比較ではフライに有意差が見られ(=0.021),対照群で減少した。

    結論 高LDL-C血症の男性労働者に脂肪酸バランスに重点をおいた栄養指導プログラムを実施し,介入群全員が完了でき事業場における実現可能性が示唆された。効果の検証のためには,より大規模な調査による検証が必要である。

  • 鈴木 美穂, 鈴木 孝太, 由田 克士
    2019 年 7 巻 1 号 p. 151-157
    発行日: 2019/07/06
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    目的 妊娠中の推奨体重増加量についての知識の有無と,栄養素等の摂取状況を明らかにすることとした。

    方法 三重県S市にある産科医療機関において,2017年8月から2018年3月に受診した妊娠16週未満の妊婦108人を対象に,食生活に関する質問紙調査と,秤量記録法による食事調査を実施した。質問紙調査で推奨体重増加量の知識を問い,適正範囲内の回答の正誤により2群(知識あり群,知識なし群)に分類した。また,サプリメント使用の有無も問い,使用している場合は具体的な種類の回答を求めた。食事調査で算出された総エネルギー量と各栄養素の摂取量,サプリメントの使用と種類について,推奨体重増加量の知識の有無で比較した。

    結果 調査対象妊婦は,妊娠週数12.5±1.2(週),平均年齢30.1±4.9(歳),妊娠前のBMI21.1±3.2(kg/m2),初産婦59人(54.6%)であった。推奨体重増加量の知識の有無による栄養素等の比較を行ったところ,エネルギー摂取量は,知識あり群1,547.0±452.4kcal,知識なし群1,660.9±350.5kcalで有意差はなかった。たんぱく質は知識あり群14.9±3.0g・知識なし群14.1±2.4gであった。脂質は知識あり群29.8±7.2g・知識なし群28.7±5.5gであった。炭水化物は知識あり群205.9±63.2g,知識なし群は230.5±50.5gで有意に多かった(p=0.02)。妊娠中に特に配慮を要する栄養素は,葉酸は知識あり群220.7±76.5㎍・知識なし群236.8±97.0㎍,鉄は知識あり群6.0±2.1mg・知識なし群6.5±2.7mg,カルシウムは知識あり群438.5±167.9mg・知識なし群491.9±248.5mgで両群での有意差はみられなかった。

    結論 妊娠中の推奨体重増加量の知識がある妊婦は,知識がない妊婦に比べて,エネルギー摂取量が低く,栄養素摂取量は必要量を下回る割合が多かった。このことから,正しい知識を有する妊婦はエネルギー摂取に対する過剰な意識が,不適切な栄養摂取状況に影響を与えている可能性が示唆された。

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