東海公衆衛生雑誌
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医療的ケア児支援法制定後の支援体制の整備と課題 全国紙による分析
杉井 たつ子
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2024 年 11 巻 2 号 p. 190-194

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抄録

目的 「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」施行後の医療的ケア児の支援体制の整備について分析し,医療的ケア児を地域で支援するための課題について考察する。

方法 対象は,2021年12月1日から2023年11月30日までに発行された全国紙の記事見出しおよびキーワードを「医療的ケア児」で検索した。法施行後の支援体制の整備状況や支援状況の変化に関する記事を抽出し,分析する。

結果 法施行後は,マスメディアの掲載記事が増加し,社会的関心が高まっている。医療的ケア児支援法施行後の行政による支援体制は,財政支援など整備されている。反面,医療福祉資源や人材が豊富な都市部では多様なサービスが提供されつつあるも,支援センターの整備が進められていない地域などとの地域格差が生じている。保護者のニーズが高い介護負担の軽減については,レスパイトサービスの不足が著しく,家族の介護負担の軽減の改善に至っていない。また,学校・保育園での日中の受け入れが全国的に整備されているが,看護師等の人材の確保が課題となっている。さらに,災害時の個別避難計画の作成も自治体の課題となっている。

結論 新聞報道記事数から,法施行後の社会的関心は高まっており,医療的ケア児支援法施行後の支援体制は整備が進んでいる。支援センターにおける支援体制の確立は今後の課題である。

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