東海公衆衛生雑誌
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女子高校生における朝食時に菓子パンを食べる習慣と食品・栄養素摂取量の関連
内田 あや山本 ちか渡辺 和代冨田 美菜子小濵 絵美加藤 恵子
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2024 年 11 巻 2 号 p. 179-189

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抄録

目的 本研究は,菓子パンを朝食に取り入れることの問題点について明らかにすることを目的とした。そのために,1.普段の朝食時に菓子パンを食べる習慣があることと,食品摂取状況および栄養素摂取量との関連を検討することとした。2.普段の朝食時に菓子パンを食べる習慣があることと,主食・主菜・副菜が揃った食事をしているかの関連を検討することとした。3.食生活に対する心掛け,栄養の大切さについての態度,栄養を考えた食事に対する自己効力感といった食事に対する態度との関連を検討することとした。

方法 高校2・3年生370人を対象に,食に関する自記式質問紙と簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ15y)を用いた調査を集合法で実施した。回答に不備のある人等を除く女子323人を解析対象とした。

 普段の朝食摂取内容の回答を用いて菓子パン摂取有群と菓子パン摂取無群に群分けした。普段の朝食摂取内容のうち,主食,主菜,副菜の選択肢の該当数の合計(以下,主食・主菜・副菜の該当数)で対象者をカテゴリ化し,菓子パン摂取の有群と無群でクロス集計を行い,χ2検定および残差分析を行った。菓子パン摂取有群と無群の2群間の習慣的な食品群別摂取量および栄養素摂取量を比較した。平均値の比較には対応のないt検定を用いた。

結果 菓子パン摂取有群は123人,菓子パン摂取無群は157人であった。菓子パン摂取の有無と主食・主菜・副菜の該当数との間に有意な関連がみられた。残差分析の結果,菓子パン摂取有群ほど主食・主菜・副菜の該当数が0の者が有意に多かった。菓子パン摂取無群に比べ菓子パン摂取有群において,習慣的な摂取量が有意に少なかった食品群は,豆類,その他の野菜,魚介類であった。菓子パン摂取無群に比べ菓子パン摂取有群において,習慣的な摂取量が有意に少なかった栄養素は,たんぱく質エネルギー比率,ビタミンD,ビタミンK,ビタミンB1,ビタミンB2,ナイアシン,ビタミンB6,ビタミンB12,カリウム,カルシウム,マグネシウム,リン,鉄,亜鉛,銅であった。

結論 菓子パン摂取有群ほど,朝食時に主食,主菜,副菜を食べていない者が多かった。菓子パン摂取有群ほど,若い世代の摂取量が少なくなりがちな豆類,その他の野菜,魚介類の摂取量も少なかった。いくつかのビタミンやミネラル,たんぱく質など不足しないように摂取することが望ましい栄養素の摂取量も少なく,望ましくない栄養摂取状況であること示唆された。菓子パン摂取有群では,朝食時に主食,主菜,副菜を食べていない者が多いことが,習慣的な栄養素摂取量に影響している可能性が考えられた。

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