2015 年 3 巻 1 号 p. 83-89
目的 障害者総合支援法の中では,身近な市町村が責任を持って一元的にサービスを提供し就労支援を抜本的に強化するとあるが,相談体制や社会資源は市部と町村部の間に格差が生じている。本研究は,障害福祉行政の組織体制とくに専門職(保健師,社会福祉士,精神保健福祉士)配置と就労支援の現状について,A県の町村を中心に分析し,専門職配置の検討を通して,町村障害福祉行政の課題を明らかにすることを目的とする。
方法 A県内21町村の障害福祉担当者に対する郵送による「自記式アンケート調査」(2013年9月)と,その結果を踏まえた「聞き取り調査(6町村:専門職を配置している1町村,配置していない5町村)」(2013年10月~12月)を実施した。
結果 「アンケート調査」の回収数は16町村,回収率は76.2%であった。町村福祉担当職員の配置人数は1人配置が7町村(43.7%),経験年数は1年目から3年目が約9割を占めた。専門職の配置をしている2町村を含む13町村(81.3%)が,専門職の配置について肯定的な回答をした。15町村(93.8%)が関係機関への紹介を町村福祉担当職員の役割として回答した。
次に専門職が配置されていない5町村の「聞き取り調査」より,精神障害の方に対する相談支援等において,保健センターの保健師と連携をとっている(5/5町村)こと,また実際の窓口支援は就労支援より生活支援の相談事例が多いことがわかった。さらに町村窓口の役割として,ケアマネージャーのような役割,コーディネート機能の認識も聴取された。(2/5町村)。
考察 職員の少人数配置と短期間での人事異動,障害福祉業務以外の業務の兼務による継続支援の困難さは,町村障害福祉行政の課題であるが,現状では機関連携によって対応されている。相談技術や障害福祉の知識を持った専門職の配置や委託相談事業所との協力も求められる。さらに,保健センター等に配置されている保健師が,障害福祉行政と協力できる体制整備が,今後の選択肢として考えられる。