東海公衆衛生雑誌
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独居高齢者の健康課題とセルフケアの実態
公営住宅団地における独居高齢者の健康に対する不安と事故の体験
杉井 たつ子
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2016 年 4 巻 1 号 p. 69-75

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抄録

目的 独居高齢者の健康問題と不安の状況,それらを回避・軽減するために実践しているセルフケアの実態を把握し,安心・安全な生活の確保のための課題を明らかにすることを目的とした。

方法 静岡県東部中山間地域にある公営住宅A団地在住の独居高齢者を対象とした戸別訪問により,緊急時の備え等セルフケア行動の実態や支援者の有無について聞き取り調査を実施した。

結果 対象者は89名で,52名から回答を得た(回答率:58.4%)。通院している者は84.6%で,健康の不安を感じていたのは59.6%であった。過去3年以内に家庭内事故を25.0%が体験し,急な体調悪化があったのは34.6%であった。

 また,緊急時の備えをしていた者は62.7%(後期高齢者では75.0%)で,その内容は治療情報カードの利用や入院時の準備等であった。独居高齢者が支援を求める人は,別居親族が57.6%(複数回答)であり,誰もいない者は9.6%であった。

結論 独居高齢者の安心・安全な生活の確保のために,セルフケア能力をさらに高める必要があると推察された。しかし,当事者のセルフケア能力や意識を高めるだけでは,安心・安全な生活の確保には限界がある。支援者のいない独居高齢者が1割存在し、6割以上は別居親族であったという実態は,独居高齢者に対する社会的支援の 整備がそのセルフケアを支えるために必要であることを示唆してい考えられた。

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© 2016 東海公衆衛生学会
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