東海公衆衛生雑誌
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乳幼児健康診査後のフォローアップの現状と事業評価に向けた概念整理
山崎 嘉久佐々木 渓円小澤 敬子加藤 直実中根 恵美子
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2017 年 5 巻 1 号 p. 121-127

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抄録

目的 乳幼児健康診査(以下,「乳幼児健診」とする。)後のフォローアップの現状を踏まえて,事業評価に向けたフォローアップの概念を検討すること。

方法 フォローアップを「対象者の状況変化について,期間・時期を定めて確認する業務」と定義し,研究協力が得られた愛知県内20市町から得られた平成27年度のフォローアップ状況に関する記述からフォローアップ対象項目を抽出した。フォローアップの目的から,①疾病スクリーニング後の経過観察・結果確認,②発達状況の確認,③支援対象者の状況把握に分類し,フォローアップ項目ごとに,集計の有無とその活用状況を整理した。整理データを用いて協力市町と保健所の母子保健担当者等と討論し,フォローアップの概念について検討した。

結果 協力市町から集約した158件の自由記述から,フォローアップ対象項目として23項目を抽出し,①疾病スクリーニング後の経過観察・結果確認10項目(48件),②発達状況の確認5項目(67件),③支援対象者の状況把握8項目(43件)に分類した。フォローアップ結果を集計していたのは158件中74件(46.8%),集計データを活用していたのは38件(24.1%)であった。

 事業評価に向けた検討では,フォローアップ業務を「健診後のフォローアップ」と「支援対象者のフォローアップ」に区別し,前者を①疾病のスクリーニング後の経過観察や医療機関受診後の結果を確認する業務,および②発達状況の確認や③支援の対象者に対して,乳幼児健診時点では受診や支援の対象ではないが「気になる状況」を確認する業務,後者を,②発達支援の対象者や③支援の対象者に,個別支援や支援事業を実施した後の状況変化を確認する業務とすることで,現場の状況を的確に評価できる可能性が示唆された。

結論 乳幼児健診後のフォローアップを「対象者の状況変化について,期間・時期を定めて確認する業務」と定義し,フォローアップ業務を「健診後のフォローアップ」と「支援対象者のフォローアップ」に区別して集計することが,乳幼児健診の事業評価の標準化に必要である。

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© 2017 東海公衆衛生学会
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