目的 任意接種で予防可能な感染症対策に資するため,定期接種委託医療機関における任意接種の実施状況と接種方針について調査した。
方法 平成25年に愛知県内の定期接種委託医療機関2632施設を対象とした自記式質問紙調査を行い,820施設から回答を得た。すべての項目に回答した診療所649施設を対象とし,B型肝炎,ムンプス,水痘およびロタウイルスワクチンについて,その実施状況と接種方針(接種推奨度,必要性など)を調査した。接種推奨度は,「子どもの家族から接種をすべきかどうかの相談があった時に接種を勧めますか」とする質問文に対する,5段階のリッカートスケールで定義した。
結果 B型肝炎(268施設,38.0%)とロタウイルス(253施設,35.9%)ワクチンの実施率は,ムンプス(399施設,56.6%)や水痘(398施設,56.5%)ワクチンと比較して低値であった。ムンプス,水痘およびロタウイルスワクチンの公費助成がされていた6自治体の医療機関では,これらの接種実施率が有意に高かった。また,ロタウイルスワクチンについては,医療機関における接種推奨度の高さと公費助成との関連が認められた。内科のみを標榜する施設と比較すると,小児科のみを標榜する施設では,すべてのワクチンの実施率および接種推奨度が高く,ムンプスおよび水痘ワクチンの早期接種や合併症予防のために接種が必要とする方針が多かった。
結論 定期接種委託医療機関における任意接種の実施率,接種推奨度および必要性に関する方針は,公費助成や標榜科と関連があった。特に,小児科標榜施設は,任意接種の実施率が高いだけでなく,その必要性を保護者に示し,接種を推奨する情報源になる可能性が示された。