東海公衆衛生雑誌
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麺料理摂取時における意識的に汁を飲まない場合の汁および汁からの食塩摂取量
近藤 今子小嶋 汐美
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2018 年 6 巻 1 号 p. 70-75

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抄録

目的 本研究は,一般的な麺料理の摂取時における意識的に汁を飲まない場合の汁および汁からの食塩摂取量について検討し,麺料理摂取時の食塩摂取量についての基礎的なデータの蓄積を目的とした。

方法 T大学の学生および職員の成人男性33人および女性36人を対象に,つけ麺のそうめんとそば,汁麺のかけそば,ラーメンおよびかけうどんを,汁を飲まないことを条件に1~2週の間隔を置き食してもらった。同時に自記式無記名で試食の開始・終了時間,性別,試食した麺料理の日頃の摂取頻度,汁の飲量を調査した。提供した汁量と汁の食塩濃度,摂取後の残汁量と残汁の食塩濃度から,汁および汁からの食塩摂取量を算出した。分析は,麺料理の摂取頻度,汁の飲量について男女の比較をカイ二乗検定により,汁および汁からの食塩摂取量については,男女による違いをt検定,摂取時間との関連をピアソンの相関分析により行った。

結果 各麺の分析対象者は,47~54人であった。週に1回以上の摂取は,ラーメンが22%で最も多かった。汁を3/4以上飲むものは男性に有意に多く,ラーメンでは男性47%,女性6%,かけそばでは男性43%,女性6%であった。麺料理全般では,汁からの食塩摂取量の平均は1.0~2.0gの範囲であった。汁および汁からの食塩摂取量は男女で違いがあり,つけ麺では男性が汁麺では女性が多く,つけ麺の汁からの食塩摂取量以外は有意な差があった。最も食塩摂取量の多いかけそばでは,男性1.86±0.15g,女性1.99±0.14g であった。摂取時間と汁および汁からの食塩摂取量とは,そばの摂取時間と汁からの食塩摂取量を除き,つけ麺では負の,汁麺では正の有意な関連が認められ,摂取時間と汁からの食塩摂取量の相関係数は,最も強いかけうどんではr=0.56,最も弱いそうめんでr=-0.32であった。

結論 麺料理摂取における食塩摂取量は汁を飲まない場合,麺も含めた場合は1.3~2.0gとなり,およそ1.6~4.0gの減塩効果があることが確認できた。麺料理摂取時における減塩指導としては,現行の「麺類の汁は残す」に加え,男女による違いについて考慮する必要性が認められた。

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