東海公衆衛生雑誌
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富士市における小中学生の栄養素摂取状況
全国12地区データとの比較
三浦 綾子岩間 美和子中村 美詠子合田 敏尚尾島 俊之
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2019 年 7 巻 1 号 p. 135-143

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抄録

目的 自治体の食育推進事業の一環として,小中学生に毎年継続して実施してきた食事調査結果を全国12地域の結果と地域間比較し,全国地域との比較による位置づけで当該地域の食生活状況や課題を明確にすることを目的とする。

方法 静岡県富士市が2010~2018年に毎年継続して実施している小学5年生,中学1年生を対象とした食事調査結果と,2014年に同じ食物摂取頻度質問票を用いて全国12地域で実施された調査結果(エネルギーと44項目の栄養素)を2群の平均差検定により比較した。小学生のデータは,途中で調査票が切り替わり,現時点で切り替え前後の調査票の関係性が明らかではないため,全国12地域で使用した調査票と同じ調査票を用いた2017,2018年のみ分析対象とした。

結果 全国12地域と富士市の地域間比較では,小学5年男子は16項目,小学5年女子は21項目,中学1年男子は21項目,中学1年女子は22項目の栄養素摂取量に有意な差がみられた(p<0.05)。小中学生の男女全てにおいて,摂取量に有意な差がみられた栄養素は,動物性脂質,ナトリウム,ビタミンC,αカロテン,βカロテン,βクリプトキサンチンであり,動物性脂質,ナトリウム,ビタミンC,βカロテン,βクリプトキサンチンは富士市が全国より高く,αカロテンは富士市が全国より低かった。

結論 食物摂取頻度質問票による食事調査結果を用いて富士市と全国を比較し,食塩および動物性脂質摂取量の多さが富士市の小中学生の食生活の課題であることが明らかになった。野菜や果物摂取と関連する栄養素については調査を実施した季節を考慮する必要性が推定された。今後は市内の各地域の特徴についても明確にする等さらに詳細な検討を行い,富士市の食育を推進していく基礎資料を得る予定である。

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© 2019 東海公衆衛生学会
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