公共事業の効率化・透明化への要請の強まりの中で,建設省においては,平成9年度から道路事業の新規採択に当たって客観的評価指標による評価を行っており,その指標の一つとして費用対効果分析の結果を用いている.平成10年6月には道路投資の費用対効果分析の基本的な手法として「道路投資の評価に関する指針(案)」がとりまとめられた.その内容について概説するとともに,検討の過程等において課題とされた点について整理した.費用対効果分析も現時点においては絶対的な基準として採用できるほどの精度を持ちうる便益評価手法が確立されている訳ではない.分析事例の蓄積,研究上の進歩を踏まえ,改善の努力を続けていくことが求められる.