2007 年 10 巻 3 号 p. 030-038
本研究は,ITS (Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム) を対象として,企業が国際標準化活動に参加することによる経済効果を検証したものである.本稿では,最初に,企業の国際標準化への取り組みを,「先行逃げ切り型」,「追い込み防御型」,「企業相乗り社会貢献型」,「情報収集ただ乗り型」の4タイプに分けて,企業が受ける便益について論述した.つぎに,ITSの国際規格づくりを行っているISO/TC204の事例を参考に,特にTC204のなかで効果的に規格づくりが行われた事例に対して,国際標準化活動への参加費用,及び企業が受ける製品開発・生産に関わる費用削減便益などの試算を行い,国際標準化活動が特許権など知的財産の確保に関連しない場合でも,同活動への参加は充分に価値のある取り組みであることを確認した.