2013 年 16 巻 3 号 p. 002-011
中国人訪日旅行者数は,東日本大震災直後に著しく減少した後,平成24年に入ってから急速に増加に転じている.そこで本研究では,このようなマクロ的現象に影響する中国人の訪日旅行に対する意識を,個人属性によるグループ別に多時点で捉え,訪日意向の変化を明らかにすることを目的とする.実施した6回のWebデータは,時系列と多様な個人属性の比較という2つの側面を有するため,パネル分析手法を適用した.固定効果モデルによる推計の結果,時点固有の効果と個人属性による効果を峻別することができ,時間の経過による訪日に対する抵抗感の軽減,ならびに日中関係の「積極」評価層における訪日意向の高さを明らかにすることができた.