2015 年 18 巻 1 号 p. 002-010
大手民鉄の大都市の路線に対する外資ファンドの廃止要求が株式の公開買付けに際して明らかになり,外為法の規制の適用,個別法への外資規制の導入,事業廃止規制の復活が要望されている.対象の5線のうち4線は輸送密度が8千人を超えているが,5線すべてが赤字と推定される.この問題は鉄道業の収支構造からみて他の大手民鉄にも可能性があり,大部分の大手民鉄には買収防衛策があるが機能しないこともありうる.しかし外為法の適用は容易でなく,外資規制の導入は前提条件に欠ける.鉄道特性のある路線の廃止の申請は,鉄道事業法が想定していなかったことであるので,事業廃止の部分認可制の創設又は事業改善命令の活用が必要である.