2020 年 22 巻 p. 040-051
本研究では,英国における港湾関連行政手続を一元的に処理する情報システム(Maritime Single Window, MSW)の試行的な構築・運営状況および関連する情報システムの設置状況について調査・分析を行った.その上で,我が国の港湾EDIとよばれるMSWとの比較を行った結果,相違点として,国家間共同体による設置の義務化・通関システムとの分離・Port Community System(PCS)の役割・電子申請の義務化等があげられ,類似点として,関係省庁が所有する行政手続システムとの連携についての段階的整備があげられる.また比較に基づく考察から,国家が新たなMSWを構築する際には,国家間共同体や条約による構築の促進と支援施策の提供,構築体制の確立などが重要と考えられる.