2024 年 26 巻 p. 50-60
人口稀薄地域において鉄道と路線バスが並行し,両者が共に不採算という事例が全国で見られる.本稿の対象地域である北海道美深町では,1970年頃から公共交通の利用者が減少したが,鉄道は特定地方交通線対策時に廃止を免れ,近年は存廃問題が生じている.一方,路線バスは国・道の補助制度の下で運行が維持されているが,補助金額は高止まりしており,沿線自治体にとって負担となっている.以上を踏まえた上で対象地域においては,原則として運営費補助の無い鉄道事業者に負担が集中している一方で,並行する路線バスには補助金が交付され,また両者を合わせると供給過剰であり,そうした状況の一端を補助制度が支えているという問題点を指摘した.