運輸政策研究
Online ISSN : 2433-7366
Print ISSN : 1344-3348
最新号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
政策研究論文
  • 奥村 誠, 森合 一輝
    原稿種別: 政策研究論文
    2024 年 26 巻 p. 6-14
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2024/05/03
    [早期公開] 公開日: 2023/06/27
    ジャーナル 認証あり

    2019(令和元)年台風19号時に,東北新幹線那須電車留置線では車両の事前避難が実施されたが,北陸新幹線長野車両基地では120両が浸水し廃車された.全国の鉄道事業者はその後,車両避難手順を検討しているが,避難実施の合理的な判断基準は確立されているわけではない.本研究は,早期の運休開始・再開遅れがもたらす費用をも考慮して,社会として合理的な避難実施判断を決定木により表現し,時間経過に伴う決定の推移を分析した.その結果,社会的には被災確率のかなり小さい洪水でも事前避難を実施すべきこと,鉄道事業者,利用者の利得によれば避難行動はとられにくいこと,判断の遅れが選択の幅を狭めることが判明した.

  • 別府 英俊
    原稿種別: 政策研究論文
    2024 年 26 巻 p. 15-24
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2024/05/03
    [早期公開] 公開日: 2023/10/19
    ジャーナル 認証あり

    本研究は,九州新幹線(西九州ルート)の整備における費用分担問題を取り上げ,ゲーム理論のコアや仁の手法を用いて分析を行った.九州新幹線(西九州ルート)は,佐賀県と国,長崎県の間で整備手法や費用分担,並行在来線の在り方を巡って合意ができていない現状にある.そこで,本研究は新鳥栖-武雄温泉間をフル規格で整備した場合の各県の帰着便益額を算出し,その便益額に基づき,国,佐賀県,長崎県の3者間において,現状の属地主義に基づく費用分担額が適正な値ではないことを,ゲーム理論の「コア」を用いて示した.その後,「仁」を用いて国,佐賀県,長崎県の3者の間で,応益主義に基づく最適な費用分担額の算出を行った.

  • ―REST API with JSONを対象として―
    飯田 純也, 中沢 優也, 藤原 弘道, 渡部 大輔
    原稿種別: 政策研究論文
    2024 年 26 巻 p. 25-39
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2024/05/03
    [早期公開] 公開日: 2023/11/14
    ジャーナル 認証あり

    港湾物流分野における情報システム間のデータ連携技術として今後REST API with JSON (API)の適用が期待される.本稿では,プラットフォームシステム(PF)を中心にAPIの適用実態把握と普及に向けた課題分析・対策検討を行った.主な成果を次に示す.(1)PF毎にAPIの電文仕様が乱立しており,データ連携の相互運用性確保に向け,電文仕様のうちセマンティクスレベルでの標準実装が重要になる.(2)ステータス情報共有はAPI,手続情報共有は既往技術(EDIFACT)という棲み分けでのAPIの普及が推察される.(3)PF運営者は,PFユーザーが抱えるAPI連携モジュール開発に係る各種課題に留意すべきである.さらに,これら成果も踏まえ,国土交通省が運営するPFのCyber Portへの施策提言を行った.

報告論文
  • ─上場企業のIR情報に着目して─
    中村 陸哉, 神田 佑亮, 小倉 亜紗美
    原稿種別: 報告論文
    2024 年 26 巻 p. 39-49
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2024/05/03
    [早期公開] 公開日: 2023/06/07
    ジャーナル 認証あり

    COVID-19の感染拡大による外出自粛に伴い,移動需要が急激に低下している.公共交通が受けた影響の程度を把握するため,経営状況への影響度を多面的に把握する必要がある.本研究では,全国の上場交通事業者が開示する決算資料を分析し,営業収益や営業利益・損失の推移や,借入金や現金及び預金,固定資産等を指標とし,事業者の経営への影響分析を行った.その結果,公共交通事業者は本来の収入とともに利益が戻らず,赤字が続いているものの,借入金による運転資金の確保により,事業停止を避けられていること,現時点ではストックへの影響はまだ顕在化していないが,今後は借入金の返済の負担により影響が生じ得る可能性が示された.

  • ─北海道美深町を事例に─
    柴田 卓巳
    原稿種別: 報告論文
    2024 年 26 巻 p. 50-60
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2024/05/03
    [早期公開] 公開日: 2023/11/22
    ジャーナル 認証あり

    人口稀薄地域において鉄道と路線バスが並行し,両者が共に不採算という事例が全国で見られる.本稿の対象地域である北海道美深町では,1970年頃から公共交通の利用者が減少したが,鉄道は特定地方交通線対策時に廃止を免れ,近年は存廃問題が生じている.一方,路線バスは国・道の補助制度の下で運行が維持されているが,補助金額は高止まりしており,沿線自治体にとって負担となっている.以上を踏まえた上で対象地域においては,原則として運営費補助の無い鉄道事業者に負担が集中している一方で,並行する路線バスには補助金が交付され,また両者を合わせると供給過剰であり,そうした状況の一端を補助制度が支えているという問題点を指摘した.

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