2006 年 9 巻 3 号 p. 014-020
高齢化の進展,地球環境問題,都市再生等,近年,わが国が抱える主要な問題に対し,歩行者交通は大きな役割を担っている.これまでの歩行者空間整備は,供給者側の視点が重視されてきたが,先に述べたわが国の主要な問題に対処していくためには,需要者である歩行者側の視点も踏まえることが必要であることは論を俟たない.そのため,歩行者行動を観測し,データを取得する必要性はこれまで以上に高まっている.本研究では,ターミナル駅構内で実施した旅客行動追跡調査を例に,歩行者行動の連続観測と歩行者属性に関する多くの情報を取得する追跡調査の有用性について言及する.