繊維機械學會誌
Online ISSN : 1883-8715
ISSN-L : 0285-905X
6ナイロン纎条糸の真空加熱効果
辻本 石雄元治 信雄
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1960 年 13 巻 4 号 p. 247-254

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抄録

研究目的高真空加熱装置によって6ナイロン糸を熱処理した場合の加熱効果, かつ糸がたなるメカニカルコンデショユングをうけた場合の高温真空加熱処理による改質的問題について檢討せんとした。研究結果本実験の範囲内でえられたおもなる結果はつぎのようである。 (1) 常温真空乾燥 (真空度10-3mmHg) のさい, 一定真空度において脱湿, つぎに吸湿のサイクルによる糸の伸縮の時間的変化の割合は, 実験的につぎのような式で示される.dSt/dt=K (Sc-St) , dS't/dt=K' (Sc-S't) (2) 無緊張糸の常温真空絶乾後の真空加熱による収縮率は, 空気加熱時に比し, 水分の影響による部分だけ小さく出現する.緊張処理時は, 緊張度および加熱温度によって所定緊張度より糸が伸長をぎたす. (3) 6ナイロン糸の高真空中におよる絶乾状態では, 微結晶の生成に関連を有する2次転移温度が70~80℃付近にあることを熱収縮, 強さ, 伸びの変化挙動から従来の文献と対照して推論された.したがって高真空単では室温から70~80℃ 付近までは加熱効果がえられなく多それ以上の温度域で熱処理しなければならない. (4) 高真空中における無緊張および緊張加熱処理時は, 70~80℃付近から120℃近傍までは空気加熱処理時に比し加熱効果は減少するが, 120℃近傍以上では加熱効果を増加する. (5) 高真空加熱処理による加熱効果は, 加熱時間でいえば図5~60min程度, 真空度でいえば図20~10-3mmHg程度では大差ない. (6) メカニカルコンデシ.ニングによって.ある程度疲労硬化しても, これを高温頁空加熱処理をすればある程度調質できる.

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