繊維機械学会論文集
Online ISSN : 1883-8723
ISSN-L : 0040-5051
合繊フィラメント糸の高速増撚におけるリングとトラベラーについて
岩田 昭治
著者情報
ジャーナル フリー

1967 年 20 巻 6 号 p. T172-T177

詳細
抄録
目的 近年ますます高速化を要求されつつある合繊フィラメント糸の増撚において, リング, トラベラー方式による高速撚糸とこれにともなう問題点を明らかにするため, これまでの応用実験結果と実用状況を総合して報告する. 結果  (1) 最適リングとトラベラーの形状は, スモールコニカル形の自動給油リング (V6Hh形) とHBC形トラベラーであり, 120mmφ8000rpm以上の高速撚糸において, 従来のフランジ高さ9.5~11.1mmのバーチカル形リングより秀れている.  (2) 撚糸張力平均値を, デニール当りの大きさで制限した場合の最高スピンドル回転速度は, 細デニール糸においては, 軽量トラベラーの制約を受け, 太デニール糸においては可能な最大バルーニング径とその制御方法に制限される.そしてスモールコニカルリングと適合するトラベラーを用いることにより現在での実用スピンドル回転速度より20%の増加が可能である.  (3) 今後の問題として, 糸質の向上, 糸とトラベラーの摩擦の減少および, バルーンストレッチの調整とその制御方法の改善などにより, リングとトラベラーの摩擦, 摩耗の面より定まる性能限界まで高速化を進めることができると考えられる.
著者関連情報
© 社団法人日本繊維機械学会
前の記事
feedback
Top