トランスパーソナル心理学/精神医学
Online ISSN : 2434-463X
Print ISSN : 1345-4501
子どものスピリチュアリティ研究における最近の動向
村上 祐介
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 11 巻 1 号 p. 56-70

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抄録

本稿の目的は、「子どものスピリチュアリティ研究」 の、近年の動向を紹介することである。第一に、子 どものスピリチュアリティが注目を集めている背景 として、人生の意味やつながりの感覚に焦点をあて ることの重要性の認識や、発達の段階理論への反論 などがあることを論じる。第二に、本領域の最近の 研究動向を概観し、(a)20世紀後半では宗教体験や ピーク体験など子どものスピリチュアルな体験に、 (b)近年では、「関係意識」(Hay & Nye, 2006)に関 心が向けられ、これらの研究の多くは、成人への回 想法や子どもへのインタビューなど質的研究に依拠 していることを明らかにする。第三に、子どものス ピリチュアリティに対する、従来の心理学からの懐 疑的見解を概観する。最後に、本領域における研究 手法や定義づけの問題や、わが国における今後の方 向性として、質的研究方法の精選、尺度開発、東洋 思想における子ども観についての文献研究を挙げる。

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© 2011 日本トランスパーソナル心理学・精神医学会
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