抄録
本研究は、星野道夫の著作から日本人が志向するス ピリチュアリティの一形態を探り、同時にスピリチュ アリティの多様性について考える試みであった。星野 道夫の著作からスピリチュアリティに関連する文章を 抽出し、それらの文章を対象にKJ法を用い、星野道 夫が描いたスピリチュアリティの概念構造を読み解い た。この手法は、これまでに無い新たなアプローチで あり、スピリチュアリティの多様性を示す一助になる と考えられた。分析の結果、【万物の繋がり】、【自然と の調和】、【古い知恵の継承】、【輪廻】、【年長者への敬意】、 【目に見えない存在の価値】の6項目が、星野道夫の示 したスピリチュアリティ観の構成因子として生成され た。星野道夫が現在でも多くの日本人の支持を得てい ることを考えると、これらの内容は日本人が好むスピ リチュアリティの一形態かも知れない。同時に、多様 性を持つスピリチュアリティ概念構造の一形態と言えるかも知れない。