抄録
中国寧夏回族自治区に分布するAnoplophora属のカミキリを14地点から捕獲し,形態学的な解析を加えた.自治区北部にはツヤハダゴマダラカミキリ(Anoplophora glabripennis)と推定される集団が,南部にはキボシゴマダラカミキリ(A. nobilis)と推定される集団が存在するものの,中部域には上翅に両種の中間的な色彩をした斑紋をもっ個体が認められ,それらの個体の色彩比率は地理的なクラインを示した.さらには中間色を示す個体は雄交尾器側片の形態も中間的であった.これらのことから両種は自治区中部の広い範囲で浸透交雑がおこっている可能性が高いと考えられた.