樹木医学研究
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7 巻, 2 号
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論文
  • 伊藤 進一郎, 木本 真衣, 吉橋 秀典, 矢田 豊
    2003 年 7 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2020/09/21
    ジャーナル フリー
    レイランドサイプレス(×Cupressocyparis leylandii, Leyland cypress)は,モンテレーサイプレス(Cupressus macrocarpa, Monterey cypress)とアラスカヒノキ(Chamaecyparis nootkatensis, Nootka cypress)との属間雑種である.風に強く,耐塩性があるとされ,イギリスやニュージーランドで防風林として植栽されている.石川県では,1986年に海岸部にレイランドサイプレスを試験的に植栽した.その植栽木に,樹幹から激しく多量の樹脂を流出する被害が発生した.その症状は,ヒノキ漏脂病に類似した被害であったが,今までにヒノキ,ヒノキアスナロ,サワラ以外の樹種では,漏脂病は記録されていない.そこで,被害の実態と原因を明らかにするため,樹脂流出患部からの菌類の分離と接種試験を行った.被害は,植栽木全てに発生し,特に樹幹下部に激しい患部があった.内樹皮に形成された壊死斑からは,樹脂胴枯病菌(Seiridium unicome)が優占的に分離された.分離された同菌をレイランドサイプレスとヒノキの苗木に接種した結果,両者に病原性を示した.以上のことから,レイランドサイプレスに発生した漏脂症状は,樹脂胴枯病による被害であると判断された.レイランドサイプレスは,日本におけるヒノキ樹脂胴枯病の新しい宿主である.
  • 久保田 耕平, 宝 山, 井上 重紀
    2003 年 7 巻 2 号 p. 77-82
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2020/09/21
    ジャーナル フリー
    中国寧夏回族自治区に分布するAnoplophora属のカミキリを14地点から捕獲し,形態学的な解析を加えた.自治区北部にはツヤハダゴマダラカミキリ(Anoplophora glabripennis)と推定される集団が,南部にはキボシゴマダラカミキリ(A. nobilis)と推定される集団が存在するものの,中部域には上翅に両種の中間的な色彩をした斑紋をもっ個体が認められ,それらの個体の色彩比率は地理的なクラインを示した.さらには中間色を示す個体は雄交尾器側片の形態も中間的であった.これらのことから両種は自治区中部の広い範囲で浸透交雑がおこっている可能性が高いと考えられた.
資料
  • 讃井 孝義
    2003 年 7 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 2003/09/30
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー
    宮崎県内の2林分でスギ造林木の梢端部分が枯死する被害が発生した.被害木を調査した結果,暗色枝枯病であることが明らかになったが,一般的な枝枯れ症状を起こすものと異なり,今回の被害では樹冠内部の一次枝の枯れを起こすことなく,梢端部のみに枯死が見られた.2ケ所の被害林分の地形は凸型と凹型で異なっていたが,ともに傾斜の変換点上にあり,また,長期間雨が少ない状態が続いたところであった.このような環境要因は,枝枯れ型の暗色枝枯病が発生するところでも見られるものであり,どのような環境条件の違いが枝枯れ型と梢端枯れ型の違いをもたらしたのかは明らかにできなかった.
事例研究
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