2019 年 48 巻 p. 115-128
本稿の目的は,集団のネットワーク構造がLinの社会関係資本の形成に及ぼす影響について,Coleman,Burt,Putnamの理論に依拠したネットワークの閉鎖性/開放性を表す閉鎖的/開放的集団への参加効果に関する仮説を検証することである.日本の代表的な大規模調査JGSS 2012データを用いて,多変量解析(Heckit, ZINB)を行った結果,第1に,開放的集団への参加数が多い個人ほど,豊かな社会関係資本(一般的社会関係資本,拡張性,上方到達可能性,異質性)を形成していた.第2に,閉鎖的集団への参加数が多い個人ほど,アクセス可能な地位の総数(拡張性)を多く形成していた.以上の知見は,豊かな社会関係資本の形成に対するネットワークの開放性の重要性を示唆している.