芝草研究
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短報
Pythium Snow Blight of Kentucky Bluegrass Turf in a Golf Course in Hokkaido, Japan
Shota MasumotoTakuma ShigyoMotoaki Tojo
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 38 巻 1 号 p. 33-36

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抄録

2007年4月に札幌市近郊のゴルフ場のフェアウェイのケンタッキーブルーグラスで激しい褐色雪腐病の発生が見られた。ゴルフ場の芝草類での褐色雪腐病の報告例は国内では見られないため,病原菌を同定して宿主に対する病原性を調べた。分離されたPythium属計5菌株の形態的特徴と菌糸生育速度反応を調べ,すべての菌株をPythium iwayamaiと同定した。この内の1菌株(OPU1452株)を代表として用い,リボソームDNAのITS 領域の塩基配列を調べた。その結果,福井県で褐色雪腐病を起こしたコムギから分離されたP. iwayamai菌株(CBS 697.83)の同配列と完全に一致した。播種後4週間のケンタッキーブルーグラスに対する病原性を直径10cmのポットを用いた接種試験で0°C下で11週間培養して調べた。その結果,接種区では植物体全体が枯死し,0°下から温室に戻しても葉や根の再生が見られなかったのに対し,無接種区では0°下での培養中に枯死した植物体はわずかで,その後に温室に戻すと葉や根の再生が見られた。

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© 2009 日本芝草学会
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