芝草研究
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自家蛍光観察法によるクリーピングベントグラス (Agrostis stolonifera L.) 品種ペンクロスの気孔密度および気孔サイズの測定
宇城 正和大嶋 中男
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2011 年 39 巻 2 号 p. 148-153

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抄録

生育状況の異なる芝草ベントグラス (Agrostis stolonifera) 品種ペンクロスの葉身向軸面 (葉表) および背軸面 (葉裏) の気孔密度 (D) 並びに気孔サイズ (気孔長Lsと孔辺細胞長Lg) を自家蛍光観察法を用いて測定し, CO2および水蒸気に対する最大気孔コンダクタンス (それぞれ, gcmaxおよびgwmax=1.6 gcmax) を算出した。Dは生育状況にかかわらず, 葉表の方が葉裏に比べ有意に高かった (葉表170~194個/mm2, 葉裏78~116個/mm2, p<0.01またはp<0.001)。D, LsおよびLgに基づいて算出したgcmaxは, 葉表で0.416~0.616 mol m-2 S-1, 葉裏で0.197~0.314 mol m-2 S-1の範囲にあったが, 生育状況にかかわらず葉表のgcmaxは葉裏のそれより2倍高い値であった。以上の結果から, ペンクロスは葉裏より葉表のCO2吸収能および蒸散能を2倍にし, 葉身全体の光合成能を高めていること, また, 上部から葉面施肥を行う際, 栄養素は葉裏に比べ葉表からより効率的に吸収され, 施肥上有利であることが推察された。

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© 2011 日本芝草学会
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