抄録
ヒートアイランド現象の間接的要因の1つとして問題視されている二酸化窒素 (NO2) を植物によって除去することを目的とし, 供試植物にヘデラ・ヘリックス (Hedera helix L.), ヘデラ・ヘリックス・グレーシャ (Hedera helix cv. Glacier) の2種のツル植物を選出した。さらに, 同じくNO2を除去する効果があり, 近年様々な分野で注目を集めているTiO2とWO3の2つの光触媒を直接生葉に塗布することによって, NO2を効率的に除去できるかについて明らかにする実験を行った。また, 併せて白熱蛍光灯と紫外線蛍光灯の2つの光条件を設定することによって, NO2除去能力に変化が生じるかについても考察を深めた。その結果, 光条件の違いにかかわらず, 単位葉面積当たりのNO2除去量 (μg/m2・h) ではヘリックス, グレーシャ共に概ね無処理区<TiO2処理区<WO3処理区という順序でNO2除去量が増大した。なお, 光触媒定着率はTiO2処理区で16.9〜41.7%, WO3処理区で1.8〜4.0%程であったことから, WO3の光触媒定着率を向上させることで, さらに高いNO2除去効果が期待できるものと推測された。