芝草研究
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研究論文
農村畦畔における二重ネット工法によるシバ植栽の検討
伏見 昭秀大谷 一郎長沼 和夫
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2013 年 41 巻 2 号 p. 149-153

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抄録

農村畦畔の省力管理に適したシバの植栽を, 二重ネット工法によって実施することを検討した。同工法で用いられる覆土の目土に着目し, シバの被度を主とした雑草を含む植被率の向上で, 地表を速やかに被覆することを目的に, 目土として雑草種子を含まない真砂土と雑草種子を含む褐色森林土の混合割合, 施肥法, 除草回数およびシバ苗サイズが, シバ生育と雑草発生に及ぼす影響をポット試験で比較した。シバは匍匐茎の伸長の速い品種「朝駆」を用いた。シバの被度を向上する効果は, 目土の混合割合と除草回数に見られたが, 施肥法と苗サイズには見られなかった。植栽年のシバの被度向上には, 目土は, 無除草, 1回除草にかかわらず, 真砂土の利用が優れ, 褐色森林土のみや真砂土と褐色森林土を等量混合した混合土では, 植被率の向上は大きい一方, 雑草の発生が多く, シバの被度向上は認められなかった。そこで, 雑草によるシバへの競合を回避しながら, 植被率を向上させるために, 真砂土が9割および8割で, 褐色森林土の混合割合が少ない目土で試験したところ, 無除草では, 雑草の発生が多く, シバ被度の向上は認められず, 1回除草においてもシバの被度と植被率は, 真砂土と同程度に留まった。したがって, 真砂土と褐色森林土の混合による目土で, シバの被度と植被率の両方を向上させることは難しいことが明らかになった。二重ネット工法の覆土に用いる目土には雑草種子を含まない真砂土を用いることが適当と考えられた。

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© 2013 日本芝草学会
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