芝草研究
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研究論文
苗立枯症を呈したベントグラスから分離されたPythium属菌3種の宿主範囲と発病適温
山元 季実子米山 勝美
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 43 巻 1 号 p. 67-72

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抄録

わが国のクリーピングベントグラス (Agrostis stolonifera L.) に苗立枯症状を引き起こすPythium属菌のP. aphanidermatum, P. arrhenomanesおよびP. volutumについて, その生育適温, 芝草・牧草類および各種作物の発芽後の幼苗における23℃と32℃での発病程度, さらに種子発芽への影響を調べた。菌糸伸長の最適温度はそれぞれ35℃, 30℃, 25℃であった。23℃または32℃の温度条件で発芽後の幼苗に対する接種試験を行ったところ, P. arrhenomanes は芝草・牧草類, イネ科作物およびネギに対して23℃よりも32℃で最も強い病原性を示した。P. volutum は芝草・牧草類に, 32℃よりも23℃で強い病原性を示した。P. aphanidermatum だけがマメ科植物であるアルファルファに32℃で苗立枯症状を引き起こした。本研究において, これら3種のPythium属菌は異なる生育・発病適温を示し, また宿主範囲にも違いが認められた。

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© 2014 日本芝草学会
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