芝草研究
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殺菌剤の抗菌力から見た春はげ症の病原菌について
小林 堅志
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1983 年 12 巻 2 号 p. 159-170

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抄録

1.この報告は春はげ症に対して市販の数種殺菌剤の効果実験を行い, その抗菌力から病原菌を検討したものである。
2.春はげ症に効果が認められた殺菌剤はTPN, キャプタン, マンゼブ, イプロジオン, トリクロホスメチル (SKKF-1) , PCNBで, 効果が認められなかったものはエクロメゾールであった。
そこで, これらの殺菌剤の抗菌範囲を調査したところ, 効果が認められたものはいずれも共通してRhizoctoniaに抗菌力を持つものであり, Pythiumに抗菌力を持つものは効果が見られなかった。
また, 既に報告されている多数の殺菌剤についても抗菌範囲を調査したところ, やはり, 春はげ症に効果があるものはいずれも共通してRhizoctoniaに抗菌力を持つものであった。
さらに, 確認のため, Rhizoctoniaに抗菌力を持つトリクロホスメチル (SKKF-1) , イフ。ロジオン, PCNBに, 新たにチオファネートメチル, ベノミルを追加し, また, Pythiumに抗菌力を持つエクロメゾールの他に, ヒドロキシイソキサゾールを追加し, 効果を見たところ, やはり, Rhizoctoniaに抗菌力を持つもので効果が見られた。
しかし, Rhizoctoniaに抗菌力を持つ浸透移行性のチオファネートメチル, ベノミルには効果が認められなかった。これはコウライシバが休眠中であり, 薬剤が浸透移行せず効果が出なかったものと考えられる。
また, 散布回数を減らした実験においても, Rhizoctoniaにだけしか効果のないトリクロホスメチル (SKKF-1) でも, TPNより散布回数が少なくて効果が優れていた。
3.春はげ症から病原菌を分離したところ, 罹病部からはRhizoctoniaが分離されたが, 健全部からは分離されなかった。しかし, その他の病原菌はいずれからも同様に分離された。
また, この分離されたRhizoctoniaは菌糸伸長量の実験から, 25℃前後に生育適温があり, ラージパッチの菌より低かった。
4.春はげ症の病徴を同じRhizoctoniaの病害であるラージパッチと比較したところ, 非常によく似ていた。
5.以上から, 春はげ症の主因となる病原菌はRhizoctoniaであると考えられる。しかし, この考察は当圃場で発生した病害をもとに行ったものであり, 不偏的にRhizoctoniaによって起るか否かについてはさらに検討するつもりである。

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