芝草研究
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各除草剤のベントグラスヘの薬害試験 (第1報)
(エアレーション, 目土入れによる影響について)
貴島 茂川添 永典
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1983 年 12 巻 2 号 p. 171-178

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抄録

ゴルフ場のベントグラスパッティンググリーンに侵入したスズメノカタビラ防除を目的として, 安全性が高いと考えられる6種類の発芽前土壌処理除草剤を使い, エアレーション・目土入れと薬害の関係を検討した。
(1) 造成3年目のペンクロスベントグラスナセリーへ昭和57年9月18日と9月30日散布日を変えて, 薬量の標準量と2倍量を散布した。同年10月18日試験区へ, エアレーション・目土入れ作業を行なった。
(2) エアレーション・目土入れ以前の結果
MBPMC・MCP水和剤1.6g/m2 (2倍量) のみ軽い黄化が認められた。両散布日共であり, 含有するMCPのホルモン剤の影響ではないかと考える。
MBPMC・MCP水和剤0.8g/m2, ニトラリン水和剤0.5g/m2, 1.0g/m2, シデュロン水和剤1.8g/m2, 3.6g/m2, TCTP水和剤2.0g/m2, 4.0g/m2, ベンスライド乳剤2.0cc/m2, 4.0cc/m2, エースフェノン乳剤2.0cc/m2, 4.0cc/m2 (製品量) は薬害は認められない。
(3) エアレーション・目土入れ以後の結果
散布日のちがいに関係なくエアレーション・目土入れ4~5日後にニトラリン, MBPMC・MCP, TCTPの標準量・2倍量区共薬害が認められた。
薬害はエアレーション・目土入れによリベントグラスの芽がうすくなり, それからの回復が遅れることであり, 一部枯死も認められた。なおMBPMC・MCP1.6g/m2を除いて後には回復した。
シデュロン, ベンスライド, エースフェノンは2倍量区においても薬害は認められなかった。
以上のことより発芽前土壌処理型除草剤散布後のエアレーション・目土入れが薬害を助長することが考えられる。
(4) 本試験から除草剤散布後のエアレーション・目土入れにも影響がなく, ベントグラスに薬害なく使用可能な除草剤はベンスライド, エースフェノン, シデュロンである。しかし, この中でシデュロンはスズメノカタビラには効果がなく除く必要がある。

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