芝草研究
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冬期のベントグラスターフに発生するリゾクトニア病
反保 宏行窪 潤志郎谷 利一生越 明
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1990 年 19 巻 1 号 p. 31-38

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抄録
ゴルフ場ベントグリーンには冬期に直径30~50cmの円形パッチが発生し, 黄褐色パッチ, Winter brown patch, Yellow patchなどと呼ばれている。病原菌について米国では2核のリゾクトニア菌 (菌型AG-D) であるとされている。しかし, 我が国では同属菌の菌型AG-Qであるとされ一致していない。そこで, 香川, 兵庫, 滋賀, 福岡の各県で発生したパッチから56菌株の病原菌を分離し, 代表的な11菌株を選択して検討を加え, 以下の知見をえた。
(1) ベントグラスに対する病原性は5~20℃でみられ, 10~20℃で最も激しかった
(2) イネ科植物に対する病原性は以下のものに認められた。暖地型: ノシバ, センチペド, バピアグラス, ウイーピングラブグラス, バミューダグラス, 寒地型: イタリアンライグラス, ケンタッキー31フェスク, ペレニアルライグラス, ケンタッキーブルーグラス。
(3) PDA培地上では5~30℃で発育し, 発育最適温度は23℃であった。
(4) 菌糸融合試験の結果, 供試菌はいずれも2核のリゾクトニア菌 (菌型AG-D) と同定された。
以上の結果より, 本病の病原菌はbinucleate Rhizoctonia AG-D (Rhizoctonia cerealis) であると結論づけ, 病名を冬葉腐病 (英名: Winter brown patch) として提唱したい。
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