芝草研究
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ピシウム性春はげ症 (仮称) の発生したコウライグリーンにおける土壌物理性
増田 拓朗反保 宏行谷 利一
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1990 年 19 巻 1 号 p. 23-30

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抄録
香川県内の3箇所のゴルフ場において, ピシウム性春はげ症 (仮称) の発生と土壌物理性 (三相分布および透水係数) について調査を行った。
その結果, 病斑部は健全部に比べると全体的に土壌の液相率が高く, 気相率が低い傾向が認められた。また, 気相率と透水係数の間には, 正の相関関係がみられた。植物の根系発達を規定する要因として, 土壌のち密度 (固相率) が指摘されることが多いが, 今回の調査地では病斑部と健全部で固相率の差はあまり大きくなく, 本症の発生は液相率, 気相率とより密接に関係していることが示唆された。
気相率10%以下の層があるかないか, 透水係数10-3cm/sec以下の層があるかないかを要因として, 数量化II類による判別分析を行ったところ75%の判別率が得られた。勿論, この結果は統計的, 確率的なものであり, 直接的な因果関係を示すものではないが, 土壌条件が副次的な発生要因となっており, 通気透水性の悪い土壌条件のもとで本病害が発生する確率が高いということが指摘される。
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