芝草研究
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ヒメコガネの大量飼育法について*
廿日出 正美八木 雅久
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1990 年 19 巻 1 号 p. 5-14

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抄録

ヒメコガネの室内での大量累代飼育法について実験を行なった。その結果は以下の如くである。
1) 卵の飼育では, シャーレの底に腐葉土粉末を敷くことにより, 99.4%のふ化率が得られ, また, ふ化直後の幼虫の噛み合いを防ぐことができた。
2) ふ化幼虫の餌への食いっきを良くする目的で, 腐葉土を乾燥粉末にし, 適度な水分を与え使用したが, 高い生存率は得られなかった。腐葉土を湿ったまま細かくしたものを与えたときは, ふ化後15日目の生存率が82.6%と高い値を示した。
3) 幼虫期間を短縮させる目的で, 2, 3令幼虫時に10℃で低温処理を行った。3令化後30日目に30~40日間処理したとき, 幼虫期間は約170日で, 無処理のときより約60日間短縮した。3令化直後での低温処理は, 幼虫の成育において悪影響をおよぼした。さらに, 2令化後15日目に処理した区は, 幼虫期間が大幅に短縮したが, 処理中および処理直後の死亡率が非常に高くなった。
4) 成虫の飼育の際, 人工飼料を与えると, 生葉に比べ寿命は2倍近くに伸び, 産卵数は3倍になった。また, この人工飼料は, いっでも容易に供給することができるので, 極めて有効と考えられる。
5) 飼育における空間利用, 労力, 経費などを考えた場合, 労力, 経費の面で, 飼育容器としての, プラスチックカップの利用は, スチロール箱よりも優れていた。

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