芝草研究
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ゴルフ場グリーンでの地下排水による農薬流出について
酒井 隆石塚 千司島津 是之内山 武夫広田 秀憲
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1992 年 20 巻 2 号 p. 173-182

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抄録
グリーンの地下より排水されてくる水の量およびその中に含まれる農薬濃度を知るために完全集水設備を施した試験グリーンを造成し, 排水量と農薬濃度の測定を行った。
その結果は以下の通りであった。
1. 湿潤状態における地下排水の排水パターンは, 強制散水後ほぼ1時間後に排水のピークが認められた。これに対して乾燥状態においては, 強制散水後ほぼ2時間後に排水のピークが認められた。またその後の排水量の減少も湿潤状態にくらべ緩やかであった。
2. 月別の排水率と散水率および月別の降雨量と排水量の相関関係の結果より, グリーンから排水される水の量は, 散水による影響はあまり受けず, 降雨量に影響されるものと考えられた。さらに集中降雨量とその排水量の相関関係をみた結果, 2つの間にはr=0.9688という高い相関係数が得られた。
3. 最も流出濃度が高かった農薬は, アセフェートで, 次いでイプロジオン, フルトラニルが高い値を示した。これに対し有機銅, MEP, ダイアジノンは, ほとんど流出してこなかった。特にダイァジノンにおいては, 検出することさえできなかった。
4. 各農薬の流出パターンは, フルトラニルを除いた他の農薬においては, 前半にその流出のピークが表れるのに対し, フルトラニルのみが後半に流出のピークが認められた。
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