抄録
浄水場より発生する浄水ケーキおよび緩速濾過床の表面かき取り汚砂を芝草床土として利用できるか否かをライシメーター試験によって調査するとともに, 溶脱水への肥料成分および農薬の流出について調査した。その結果, 以下のことが明らかとなった。
1.汚砂を表層土として用いた場合, 芝草の生育は園芸川砂を用いたものに比べて良好となり, 汚砂には植物に必要な養分が多量に含まれていることが明らかとなった。
2.芝草床土の下層土として浄水ケーキを充填した場合, 溶脱水の濁度や溶脱リン酸濃度は顕著に低下し, リン酸脱軽減資材として有効利用できることが明らかとなった。また, その効果は脱リン効果をもつ発泡ケイ酸と比べて優れていた。
3.浄水ケーキには硝酸態窒素やカリウムの溶脱に対して効果を示さず, 逆に浄水ケーキの下層への充填によって溶脱する硝酸態窒素濃度が高まった。
4.芝草に散布した殺菌剤, 殺虫剤の溶脱は浄水ケーキや発泡ケイ酸資材の下層への充填によって顕著に低下し, その低下度合は浄水ケーキ区に比べて発泡ケイ酸区で高かった。
5.これらの一連の試験結果から, 浄水ケーキはサンドグリーンからの肥料養分や農薬の溶脱を防止する有用な資材として利用できるものと考えられた。