芝草研究
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薬剤耐性Pythium vanterpooliiのモデル畑土壌中における植物遺体への着生能力
藤田 百合子一谷 多喜郎
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1994 年 23 巻 1 号 p. 21-26

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抄録
馴致法によりメタラキシル剤に対して耐性を獲得させたP.vanterpooliiの繁殖体の競合的腐生能力と本菌卵胞子の植物遺体への着生能を元の感受性菌と比較したところ, 以下の結果が得られた。
(1) 本実験に用いたメタラキシル剤耐性獲得菌株UOP393 (=IF032590) とこの単菌糸分離株のEC50値は等しく400μg/mlであった。また元の感受性菌株UOP392 (=IFO32589) とこの単菌糸分離菌株のEC50値も等しく1μg/ml以下にあった。
(2) 耐性獲得菌株の繁殖体の競合的腐生能力は, 元の感受性菌株のそれと同程度か僅かに高かった。
(3) 耐性獲得菌株の卵胞子の植物遺体への着生能力は, 元の感受性のそれと同程度であった。
(4) 繁殖体の競合的腐生能力および卵胞子の植物遺体への着生能力試験後に回収した耐性獲得菌のメタラキシル剤に対するEC50値は, 等しく400μg/ml附近にあって耐性は維持されていた。同様にして回収した元の感性菌のEC50値は, 1μg/ml以下で高い感受性が維持されていた。
(5) 繁殖体の競合的腐生能力および卵胞子の着生能力の試験後に回収した耐性獲得菌と元の感受性菌の蔵卵器径, 卵胞子径および卵胞子壁の厚さには, 差異を認めなかった。
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