芝草研究
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ゴルフ場グリーンで採取したソッドからの菌分離法の比較ならびにソッド保存温度・期間と分離総菌数との相関
小林 一成澤田 昌弥久能 均
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1994 年 23 巻 1 号 p. 12-20

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抄録

ゴルフ場採取ソッドからの糸状菌分離法およびソッド保存温度, 期間が分離糸状菌数, 細菌数に及ぼす影響を検討した。グリーンからソッドを採取し, 希釈平板法 (以下, 平板法) と直接分離法 (以下, 直接法) とによってソッドの検定試料 (地上部, サッチ部, 地下部, 土壌部) から糸状菌を分離した。選択培地を用いた直接法でサッチ部から, Rhizoctonia, Fusarium, Pythium, Curuulariaが分離された。また, 地上部からは後二者が, 地下部からはRhizoctonia以外の三菌が分離された。同じ選択培地を用いた平板法ではCuruulariaのみがすべての検定試料から分離された。平板効率を求めたところ, Rhizoctonia, Pythiumの効率はきわめて低く, Fusarium, Curvulariaのそれは高かった。ソッドを4℃, 20℃で保存し, 平板法で分離される総糸状菌数, 総細菌数, Curuularia数の推移を検討したところ, 4℃保存のッドから分離される糸状菌, Curuularia数は保存3日以内では有意に変動しないこと, 20℃保存ではいずれの数も3日以内に変動することが明らかになり, 糸状菌を分離対象にする場合には4℃保存で採取後3日以内に分離作業をすべきであると結論された。また, 総細菌数は4℃保存でも3日以内に変動するので, 採取後できるだけ早期に分離作業をすることが望ましいと判断された。

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