2001 年 29 巻 2 号 p. 129-134
芝地の多年生雑草ヒメクグのコウシュンシバに対する競争力を, de Witの置換栽培法によって検定した。両種の個体数の割合を16: 0, 12: 4, 8: 8, 4: 12および0: 16として野外で約4か月生育させ, 地上シュートの形成数, 根茎 (コウシュンシバでは根茎+ほふく茎) 分枝の数および長さ, ならびに茎葉部, 根韮部および根部の乾物重を測定した。
両種の乾物重の相対収量 (RY) 値曲線の比較から, ヒメクグのコウシュンシバに対する著しい優位性が明らかになった。また, この傾向は茎葉部よりも根茎部においてより顕著であった。相対収量合計 (RYT) 値は混植によって1.0以下になり, ヒメクグによるコウシュンシバの抑制に非競合的要因が関与している可能性が示唆された。地上シュート数および根茎分枝数でみた個体当りの生長量は, ヒメクグでは自種の割合が少ないほど多かったが, コウシュンシバでは全く逆であった。コウシュンシバに対するヒメクグの優位性は, 地上部はまだ混み合っていないが, それぞれの根茎が伸長して他個体の生育領域に侵入し始めた頃から始まり, 生育の進展につれて顕著になった。