芝草研究
Online ISSN : 1884-4022
Print ISSN : 0285-8800
ISSN-L : 0285-8800
芝草を加害する半翅目の害虫に関する研究II
スナコバネナガカメムシに対する防除薬剤の選出
廿日出 正美山下 賢一吉田 正義
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 8 巻 2 号 p. 137-143

詳細
抄録
芝草を加害するスナコバネナガカメムシに対する有効な薬剤を探索するために, 16種類の殺虫剤について評価を行った。
1.ろ紙接触法による殺虫試験では, この虫の成虫に対して殺虫効果の高いものは, cartap, salithion, r-BHC, PHC, fenitrothion, fenthion, diazinon, CVPの順であった。
2.各種薬剤の土壌中への浸透移行性に関する試験では, 粒剤より液剤の方が土壌の下層へ浸透しやすい傾向を示した。
液剤における試験では, 最も優れた浸透性を示したものはPHCであり, 次にfenthionとfenitrothionでありcartapやsalithionの効果は劣った。
粒剤において散水回数の相違による土壌中への浸透移行はPHCだけが4回の散布でB層まで, 他のfenthionやdiazinonでは散水回数を多くしてもB層まで浸透しなかった。
3.6種薬剤の残効性試験によれば, 4l/m2散布区でPHC水和剤が散布後15日目においても30%以上の死亡率を示した。他の薬剤では散布後5日目で30%以下の死亡率を示し, 殺虫効果の劣ることを示した。
4.本昆虫の農薬による防除には, この虫の成虫の発生がピークに達し, 地際に最も多く生息する時期, すなわち5月中旬から6月上旬にPHC水和剤, fenthion乳剤およびfenitrothion乳剤などの1000倍液を4l/m2以上散布することが望ましい。
著者関連情報
© 日本芝草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top