抄録
断層撮影のスキャン速度を高めた高速X線CTを,混相流のボイド率および界面積計測に用いる際の測定精度を評価するため,既知寸法の円筒形および球形のアクリル製ファントム模型を試作し,模型寸法,移動速度,X線ファンビーム厚さ,スキャン速度から,空間分解能と移動速度の上限を求めた.断層像の空間分解能は,断層像を二値化する際のしきい値に依存するが,これを適当に選択することにより,静止模型に対しては約5%の精度で断面積と表面積の計測が可能となる.しかし,移動速度が1.0m/s付近では,球表面積などの測定誤差は20%以上となる.さらに,混相流計測で想定されるスラグ気泡形状を模擬した既知形状のアクリル製ファントムを試作し,CT計測によりこのファントムの断面積分布や外表面積のプロファイルを求めた結果,気泡後端の細かな構造の検出は困難であるものの円筒部分の測定精度は高いことがわかった.