2025 年 45 巻 11 号 p. 24-36
本研究は2次元人工造形物(曼荼羅・絵画・書)が有する数理情報システムを精神世界へ癒しや活力を与え得るシステムとして捉え,その光・色彩・構図デザインの画像情報処理と数理解析によって,1/fnゆらぎ成分の波数特性を抽出しながら癒し効果を可視化するとともに,癒し効果の意味合いを数理工学的に考察したものである.ここでは,2次元人工造形物(曼荼羅,絵画,書画)の数理評価にスペクトル解析を適用した研究を展開し,それらの波数特性から1/fnゆらぎ成分を可視化・抽出するとともに,人への癒し効果や活力の意味合いも数理工学的に考察している.また,2次元スペクトル解析も援用しながら2次元人工造形物(曼荼羅・絵画・書)の色彩・幾何学的モザイク構造に内含される数理工学的な構造の解明を試みるとともに,これらモザイク画像と自然現象との数理工学的類似性(共通ロジック)も理解する.本研究の独創性は,独自に開発した曼荼羅・絵画・書画の画像処理技法と数理解析技法に基づいて癒し効果に関連する1/fnゆらぎ成分を抽出し,それらの2次元画像情報を数理工学的に解析・考察する点にある.なお,モザイク画像の構造解析を志向した2次元スペクトル解析の適用は本研究が初めてであり,これらの方法論を通じて有益な知見が得られたのでここに報告する.すなわち,2次元人工造形物(曼荼羅・絵画・書)のモザイク模様には,共通のロジックとして「蛍の光」,「秋の鳴く虫の音」,「オーロラ」など自然界が有する癒し現象として知られている特徴的な1/fゆらぎに類似なデザイン構造が存在することを明らかにした.