抄録
20世紀の中国の美術は西洋文化の強い影響を受け,伝統美術が瓦解し,芸術の自律性が破壊され,近代化が始まった。伝統的な中国画を復興する傾向もあったにも関わらず,西洋画に倣い,中国画の革新を目指す運動は社会変革の背景のもとに主流になっていた。アジアで最も早く近代化を始めた日本は,明治中期には東京美術学校が設立され,西洋絵画などの導入により,近代美術教育を推進していった。そして,近代化を迫られた清の政府は日本の近代学校制度を導入し,日本人教員を招聘した。その中で,近代美術教育と日本人の美術教員の導入も含まれる。また,日本に美術留学をした美術家も多かったので,近代の中国画の革新において,日本からの影響は最も注目すべきものであると言える。本稿はすでに公表されている資料に基づいて,近代の中国画の革新に日本からの影響の役割と日本との関係を明らかにし,中国画の近代化について一考する。