2016 年 48 巻 1 号 p. 265-272
近年,中国では,伝統工芸産業が国家文化戦略の推進の下で急速に発展している。しかし,工芸美術家の欠乏のような問題は伝統工芸産業発展のネックになっている。その主な原因は伝統工芸人材を育成する基盤としての農村部における職業美術教育が,産業の人材のニーズに適応しないことである。したがって,農村部における職業美術教育が伝統工芸人材の育成体系と方法を新たに構築する必要があると考えられる。本論文では,これらの問題について東陽市の木彫工芸人材の育成を例にして考察し,以下のような啓発を得た。1,伝統工芸人材の構成の不合理の現状を変えるには,高等職業教育が伝統工芸人材の育成の中に参入することが欠かせない。2,工芸美術家を育てるには,学校の職業美術教育と大師による「徒弟制度」の育成方式を結合させることが必要である。