抄録
本研究では「古筆」の臨書体験を中心に据えた文字鑑賞プログラムを作成し,試行実践を通して学習効果の検証及び意義の確認を行うものである。古筆には原初的な手書き文字の持つリズムや気韻が秘められており,手書き文字の美しさを歴史的な視座から感じ取ることができる教材である。また学習者の意識変容を促すために,単に文字を観るだけではなく多感覚を統合させる多面的なアプローチを取り入れたプログラム構成を行った。ワークショップの受講者は教員養成大学の学生・院生とし,文字に対する意識の変容とともに将来の教員としての視座形成がいかに図れたかを考察した。受講者の活動状況やプレ・ポストテストの記述内容からは文字を芸術として鑑賞対象と捉える視座の獲得と,文字意識の深化・拡張,教材化への志向を確認することができ,今後の実践に向けた展望を得ることができた。