美術教育学研究
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油絵具を着色剤とした混合技法による不飽和ポリエステル製立体造形表現
小野 裕子
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2017 年 49 巻 1 号 p. 105-112

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抄録

本研究は,プラスチック素材による立体造形表現において,肌の質感を出すため,油絵具と不飽和ポリエステル樹脂を混合した技法を試みた。従来の商業製品による着色技法においては,品質と機能性を与えるため,プラスチック専用着色トナーによる外部着色と内部着色が開発されてきた。しかしながら,専用トナーは粒子が大きいため,発色が高く,筆者が描く肌の質感を生み出すことができない。粒子の細かい自然な肌質を得られる油絵具を着色剤とした。仮説として,油絵具の着色剤がもたらす効果は,透明感を持ちながら光沢感の無い肌質が得られる。芸術表現における人体や動物表現などの作者の主観的イメージを作品へ吹き込み,有機的な特徴を表現できる。樹脂と撹拌可能な油絵具の種類を調査し,有機的な肌の質感を再現する技法を確立した。結論として,商業製品には得られない芸術表現独自の質感を得る混合技法を見出した。

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© 2017 大学美術教育学会
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