美術教育学研究
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表現者と共にいるということ
―社会福祉法人みぬま福祉会の実践を手がかりとして―
安藤 郁子
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2017 年 49 巻 1 号 p. 25-32

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抄録

障害のある人の芸術表現に対する関心が高まる一方で,障害のある人の芸術表現が実践的・具体的にどのような過程で生起・変化していくのかに関して,明らかにされている事例はまだ少ない。本稿は,表現者とそこに共にいる人との相互作用的な関係性の中から表現が立ち上がっていく,そのありようを提示することによって,人が「表現」することの根源的な意味の問い直しを行うことを目的としている。「社会福祉法人みぬま福祉会」をフィールドに,重度の身体障害と知的障害のあるSさんと,彼と共にいる職員Bさんとのあいだで生起する「ニギリ」と呼ばれる表現について,表現が生起する場の詳細な観察・記述・考察を行った。このことによって,表現者だけではなく,共にいる人自体もつくり変えられていくような表現のあり方を提示し,人が「表現」することの本質の一端について示唆した。

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© 2017 大学美術教育学会
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