美術教育学研究
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花の絵の系譜の読解的鑑賞
―ヒューホ・ファン・デル・フース「ポルティナーリ祭壇画」と尾形光琳「燕子花図屛風」の東西比較を含む鑑賞題材の提案―
岡田 匡史
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2017 年 49 巻 1 号 p. 89-96

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抄録

本稿では,『中学校学習指導要領』第6節美術がB鑑賞領域の指導事項とする,「美術を通した国際理解」に立脚し,ヒューホ・ファン・デル・フース「ポルティナーリ祭壇画」,その中央図下部を彩る花の情景と,群舞的な美と壮麗さを併せ持つ尾形光琳「燕子花図屛風」の読解的鑑賞に関する多角的検討を試みる。その際,前者では,キリスト教図像学に基本則る図像学的読解を適用した読み取りを確認し,後者は,絵の背後に隠れる『伊勢物語』第九段〈三河国八橋〉に照明を当て,物語と在原業平の歌とを絵に還流させ,言語と視覚的イメージの合一的状態から絵を読み直してみた。かかる教材研究的段階を経,二作の読解と東西比較を主要活動に位置付ける8段階の授業計画を提起し,それを以て本稿の結部とした。今後の最重要課題は,提起事項の臨床的分析であり,検証授業の実現を模索したい。

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© 2017 大学美術教育学会
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