美術教育学研究
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日本における混合技法の継承と実践について
大学美術教育の現場を対象とした調査報告書を中心に
加藤 隆之
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2019 年 51 巻 1 号 p. 137-144

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抄録

本研究の目的は,テンペラ絵具と油絵具を用いた混合技法に関して,大学美術教育の現場を対象とした継承状況と実践内容を明らかにすることである。美術系大学,美術系短期大学および短期大学部,そして教員養成系大学の絵画を担当する教員を対象に,混合技法の授業開設の有無とその内容等のアンケート調査をおこなった。調査の結果,回答のあった大学の約6割で混合技法の授業が開設されていることがわかった。その指導内容については,基本的な材料の処方が多かったのに対して配合比率は多様であった。さらに,技術的な面でも幅広いテンペラ絵具の用い方が指導されていた。1970年代からの西洋絵画技法への需要にのって普及した混合技法は,絵画学習における一つの手段として認知される一方で,技術的な理由と表現の多様性の中で,授業開設の必要性に明暗が分かれている現状が明らかとなった。

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© 2019 大学美術教育学会
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